富山県の越中八尾で行われる「おわら風の盆」。毎年9/1〜9/3開催なので、平日に行われる場合はなかなか見に行くことができないのですが、今年はどうにもこうにも見たくてたまらず、最終日の9/3は15:00過ぎから時間休を取り、一路富山へ。
おわら風の盆を見に行くのは3回目ですが、過去2回はEOS kissⅢ(10数年前の時点でかなりの型落ち)&キットレンズ(EF-S 55₋250㎜)だったので、ブレブレの写真しか撮れませんでした。その後さほど写真の腕は上がってはいない感じがしているものの、EOS RP&RF70₋200㎜という装備にグレードアップはしたので、撮影リベンジしたいというのも今回の目的の一つでした。
本記事のポイント
- 装備はよくなったけど、自分の写真の腕は向上しているのか?
- おわら風の盆で素敵な写真を撮るためのポイントは?
おわら風の盆とは
おわら風の盆は、富山県富山市の越中八尾で毎年9月1日から3日にかけて行われるお祭りです。越中八尾は昔ながらの日本家屋の街並みが残る美しい街で、諏訪本通りは「日本の道100選」にも選ばれています。開催期間中は町中のぼんぼりに淡い灯がともり、男性は法被、女性は浴衣姿に編笠をつけた踊り手が、三味線、胡弓の地方(じかた)にあわせて踊り、町中を流し歩きます。その幻想的な様子は、得も言われぬ美しさがあります。
毎年9月1日から3日と決まっており、雨が降ると流し歩きもできません。日程によってはすべて平日になったり、台風シーズンで雨予報だったりと、自分にとっては行きたくてもなかなか行けないからこそ余計行きたくなる。そんなお祭りです。
写真は「富山県観光公式サイト とやま観光ナビ」より。
これまでの撮影経験と撮影装備
撮影経験
コロナ前は数年間友人たちと月1回街歩きをしながら撮影会をしていましたが、ここ2、3年は撮影を行うのは年に数回。主に家族旅行のとき、一人旅のときが大半で、日常的に写真を撮る習慣はありません。露出やピクチャースタイルなどの基本的な知識は頭に入っていますが、専門的な知識はなし。
夜間の撮影は三脚を立てて花火を3度ほど撮影しましたが、動きのある人の撮影はほぼほぼ初めてでした。
撮影装備
カメラ…CanonのEOS RP、レンズ…RF70-200㎜(F2.8)、三脚のみを用意していきました。持ち運び用の椅子を持っていこうかとも思いましたが、とにかく人が多いので多分使えないし、少しでも荷物は軽くという判断で持っていかないことに。
後ほど書きますが、椅子は持っていかなかったことを後悔することになります。
富山駅到着後の動き
富山駅に到着したのが18:30頃。ここから越中八尾駅まではあいの風とやま鉄道で30分弱ですが、おわら風の盆開催期間中は整理券配布式になっており、整理券をもらってから列に並ぶ必要があります。
ホテルにチェックインしている時間はないので、まずは着替えなどの荷物をコインロッカーへ。コインロッカーはおわら風の盆開催期間中でも全く問題なく空きがありました。そのまま整理券配布の列に並んだ…つもりだったのですが、その列は整理券をもらった人が電車に乗るために並ぶ列で、さっそく15分ほど無駄に。整理券をもらいに行くとその時点で最速の整理券は1時間後の19:50乗車分。さすがに侮れません…
確か臨時便のバスも出ていたはず、ということで南口を出るとすぐそこにバス乗り場があり、係員の方に聞いてみるとちょうど18:50発が出るところ。ちょうど空席もあり無事乗り込むことができました。八尾行きのバスは19:00が最終とのことでしたが、そちらも人が並んでいる様子はありませんでした。最終日は19:00開始なので、18:50のバスでは開始に間に合わないため、バス乗車のピークは過ぎていたのかもしれません。ちなみに新幹線の切符と一緒に富山駅から八尾駅までの切符も買っていたのでそちらは無駄に。
八尾到着は19:30前後。渋滞もなくスムーズな道のりでした。ここから会場までどうやって行くんだっけ?と思いましたが、バスを降りたところでガイドマップが配布されていたので、徒歩15分ほどの道のりでしたが問題なくたどり着けました。そもそも多くの人がぞろぞろと歩いているので、迷いようもありませんでした。
会場到着後の動き
めぐったルート
八尾八幡社(町)→聞名寺(町)→西新町駐車場(西新町)→大輪踊り(上新町)→流し(東新町)→流し(下新町)
八尾駅駅側からぐるっと奥まで回るルートにしました。基本的には最も人通りが多い上新町、諏訪町近辺をうろうろと回っていました。
おわらの見どころは、なんと言っても流し。踊り手や地方の一段が街を流し歩くのですが、八尾は11地区に分かれており、流しはそれぞれの地区で半ばゲリラ的に行われます。そのため、ぶらぶら歩きながら唄が聞こえてくる場所を探すか、流しが行われるエリアにあらかじめ陣取ってその時を待つか、という選択になります。
写真撮影という意味では後者が良いわけですが、どこからどう歩いてくるかが分からず、いつ来るかも分からないという状況なので、場所を決めて待つのもなかなかリスキー。そして路上でそれをするためには自前の椅子が必要です。椅子持ってこれば良かったなあ、と思ったのも後の祭りでした。。。
20時前に到着したものの、22時過ぎに上新町の大輪踊りが始まるまで街中を流す様子に出会うことはできず、途中の神社やお寺、駐車場で行われるおわらを何とか見ることができただけでした。そして、すでに始まっているところに遅れていっているわけなので、当然人の山の中で写真を撮ることになり、いかんともしがたい前の人の見切れ、映り込みが発生します。撮れたのは↓の通り、さもありなんという写真でした。
がしかし、流していようがいまいが、八尾の街並みはぶらぶらと歩いてみたくなる魅力にあふれています。ぼんぼりに彩られた古い街並みの、1年に1度のハレの日。子どもからお年寄りまで、みんな高揚したような様子で流しの出番を待っている。歩き回りながらそんな様子を見ているだけで、こちらまで楽しくなってくるのです。
ここからが本番!深夜の町流し
最終日のオフィシャルなプログラムでは19:00₋23:00となっていたのですが、23:00以降も各町の方が各自で楽しむための町流しがあるということだったので、粘ってみることに。ちなみに最初にもらったガイドに八尾駅発の電車の時刻表が載っており、富山駅行きの最終はなんと0:55でした。0:30までは粘って最終で帰ろうという魂胆です。
とはいってももちろん23:00すぐには始まらず、各町ごとに皆さん集合されていたようで、公式な締めくくりをされていたのかなと思います。平日開催ということで、翌日からは普通に働いたり、通学したりする方がいらっしゃるわけで、「じゃあ、また明日~」と言って解散されている様子も見られました。
22:00が八尾発のバスの最終で、23時にオフィシャルなプログラムは終了ということで、それまでは芋を洗うような様子だったのが、23時以降は人の数もぐっと減り、写真もかなり自由に狙って撮れる状態でした。どこかである程度場所を決めて撮ろうと思い、ぶらぶらと東新町や諏訪町の辺りをぶらつきつつ、間もなく始まりそうな様子だった東新町で場所を決め、待つこと数十分。12時過ぎに東新町の深夜の流しが始まりました。
初めて街中での流しを撮れたものの、なんせ暗い!満を持して撮り始めたものの撮れているのかどうかもわからないまま、あっという間に終わってしまいました。もうちょっときれいに撮れていたものもありましたが、深夜の流しは笠をかぶらず顔が出ているので、あまり顔が分からないこちらのみ載せます。東新町にはおわら風の盆を題材にした小玉ユキさんの漫画「月影ベイべ」に出てくる「おわらファイブ」のようなカッコいいお兄ちゃんたちがいて、流し後に歩いていた彼らの写真が一番お気に入りでした。
検証結果
装備はよくなったけど、自分の写真の腕は向上しているのか?
してない!装備が良くなってISOをあげられたから見られる程度にちゃんと写っただけで、ただそれだけだった。そして、夜の動きのある撮影はすごく難しかった。
以下はほかの方が撮った写真と見比べてみての反省点。
- 70₋200を使うなら傘の下の表情が少しだけ見えるような、バストアップの寄りの写真があっても良かった。
- 全身を入れるカットを撮るときに、背景を意識できていなかった。F値2.8でズームすると当然背景がかなりボケるので、前が開けていて映り込みがないなら、F2.8でも多少引き気味にしておけば、もう少し背景がしっかり映ったのでは。
- もう少し引き気味の写真も狙ってパターンを増やすという意味で、50㎜くらいのレンズがあったら、美しい街並みや大勢の観光客の中で踊る様子が撮れたのでは。
- この町の流しではこれ、次の流しではこれ、というように場所やレンズの選び方を含め、ねらいをもって撮るべきだった。
- 場所を決めて撮ったときに、通行人の人で試し撮りしておくべきだった。試し撮りしておけば、光源のなさや実際の構図を踏まえて、場所を変えるなりできたと思う。
おわら風の盆で素敵な写真を撮るためのポイントは?
以下が大事だと感じました。書き出してみると至極当たり前の内容。。。
- どの町のどういうカットを狙いたいのかをあらかじめ決めて、そのカットが撮れる場所に待機しておくこと
- そのために椅子を用意すること
- 暗い中でも決めポーズをしっかりとめて撮れるように、三脚を使うこと
- 構図に合ったレンズを何本か用意しておくこと
- ぶらぶら回りながら人の上から映り込みなく撮るなら脚立を使うこと
ただ、いい写真を撮ること=おわらを最大限楽しむことかというともちろん違います。おわらの場合、その場の雰囲気に任せてぶらぶらと歩きまわり、ふと聞こえてきた音の方へふらふらと歩いていく、というのもかなり正しい楽しみ方のような気がしています。
そうか、それならそれでそういう雰囲気が伝わる写真を考えて撮ってみればよかったんじゃないかな、と今思いました。傘を取ってリラックスしている踊り手さんたち、在りし日の自分に思いを寄せながら、子供たちを支える側に回っている地方の皆さん、ハレの日にどこか高揚している町の皆さん、その町の雰囲気に魅了される観光客の人たち…
やっぱ50㎜くらいのレンズでスナップ的に撮ってみても良かったんじゃないかなと思う。次にリベンジするまでにもう少し夜間の撮影の経験を積みたいけど、おわらみたいに顔が隠れている被写体じゃないとなかなか撮りづらいよなあ。何かイベントを探してみよう。
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