気候上の秋の訪れ~二十四節気と白露~

四季

昨日9月7日から、2024年の二十四節気は「白露」に入りました。白露という言葉からは何となく朝晩の気温が下がってきて、葉に朝露が付くようなイメージが想像されますが、白露とはどんな時期のことなのか調べてみました。

1. 白露の意味と位置づけ

「白露(はくろ)」は、二十四節気の一つで、秋が本格的に始まる時期を指します。「白い露」という文字通りの意味を持ち、草花に朝露が輝く様子を表しています。太陽暦では毎年9月7日頃(閏年は9月8日頃)にあたり、立秋から数えて約30日目に位置します。白露は、暦の上でも実際の気候でも、秋の訪れを感じさせる重要な節気です。

読みは「しらつゆ」ではなく「はくろ」なんですね。

2. 白露の気候的特徴

白露の時期は、以下のような気候的特徴があります:

  1. 気温の低下:夏の暑さが和らぎ、涼しさが増してきます。
  2. 朝晩の冷え込み:特に朝晩は冷え込むようになり、昼夜の寒暖差が大きくなります。
  3. 秋雨:秋雨前線の影響で、長雨が続くこともあります。
  4. 台風の接近:日本では、9月は台風の接近が最も多い月です。
  5. 朝霧の発生:気温の低下により、朝霧が発生しやすくなります。
  6. 湿度の上昇:秋雨の影響で湿度が高くなることがあります。

まだまだ暑さは残っていますが、それでも冷房がいらない時間帯も増えてきいています。窓を開ければ鈴虫、松虫の声もちらほらと聞こえ始めました。

3. 自然界の変化

白露の頃には、以下のような自然界の変化が見られます:

  1. 植物の変化
  • 稲穂が黄金色に色づく
  • 秋の七草(萩、尾花、葛、撫子、女郎花、藤袴、桔梗)が見頃を迎える
  • キノコが生え始める
  • 柿や栗が実る

 2.動物の変化

    • 秋の虫(鈴虫、松虫、cricketなど)の鳴き声が盛んになる
    • 渡り鳥の南下が本格化する
    • トンボが飛び交う

     3.その他の自然現象

      • 朝露が目立つようになる
      • 夕焼けが美しくなる
      • 満月が特に美しく見える(中秋の名月)

      2024年の中秋の名月は9月17日、満月になるのは翌18日だそう。雨や台風が心配ですが、無事見られることを楽しみにしたいですね。

      4. 生活と文化

      白露の時期には、以下のような生活や文化の変化が見られます:

      1. 秋の味覚を楽しむ:新米、栗、梨、ぶどうなどの秋の味覚が本格的に出回ります。
      2. 秋の行楽:涼しくなってきたこの時期、ハイキングやピクニックなどの野外活動が盛んになります。
      3. 防寒対策:朝晩の冷え込みに備えて、薄手の上着を用意するなど、防寒対策を始めます。
      4. 収穫祭:各地で稲刈りや収穫祭が行われます。
      5. 月見:中秋の名月(旧暦8月15日頃)を楽しむ習慣があります。
      6. 防災の備え:台風シーズンに備えて、防災グッズの点検や準備を行います。

      先週行ってきた富山の「おわら風の盆」も収穫の踊りだということでした。石川県の農林水産系のボランティアでも収穫系のボランティアの募集が出ていました。うまく予定を合わせて参加したいものです。

      5. 白露にまつわる言い伝えと風習

      白露には、以下のような言い伝えや風習があります:

      1. 「白露に秋の気配」:白露を過ぎると本格的に秋らしくなるという言い伝えがあります。
      2. 「白露の雨は米良し」:白露の頃の雨は稲の実りを良くするとされています。
      3. 「白露経れば暑さ去る」:白露を過ぎると暑さが去るという言い伝えがあります。
      4. 月見団子:中秋の名月に月見団子を供える習慣があります。
      5. 虫聴き:秋の虫の鳴き声を楽しむ「虫聴き」の風習があります。

      立秋が暦上の秋の始まりだとしたら、白露はまさに気候上の秋の始まりと言えそうです。

      6. 白露を季語にした俳句

      白露は俳句の季語としても広く使われています。ここでは、白露を詠んだ著名な俳句をいくつか紹介し、その意味を考えてみます。

      もろもろの音立ちあがる白露かな 廣瀬町子

      夜に聞こえてくる様々な虫の音色でしょうか。現代的に考えると、クーラ―をつける必要がなくなって、窓を開けるようになったからこそ、家の外の音が立ち上がってくる、という解釈もあるかもしれません。とある漫画で、外国の人には虫の音はただの雑音に聞こえているというセリフがありましたが本当なんでしょうか。

      手習の仮名も白露の夕べかな 笹尾操

      「仮名も」ということは仮名以外の要素にも「白露の夕べ」を感じているということでしょうか。夏よりはずいぶん早い時間帯に西日が差し込み、虫や渡り鳥の声が聞こえてきて…なんていう情景の中で、つらつらと筆で仮名を書いていく。自然の様々な音と仮名文字を書く筆のリズムが軽快に合わさった楽しさが感じられ、夏派の自分からするとこの方はきっと秋派だろうと思わされます。

      漬梅の紅のひと粒白露の日 飯田龍太

      夏前に漬けた梅の出来上がりは2~3か月後ということで、秋の始まりの白露の日に、紅く染まった梅を一粒食べるというような光景でしょうか。秋のカラーと言えば、夕日や紅葉のイメージから赤ですが、梅から秋の赤が始まるというところが何とも乙な感じがします。

      7. まとめ

      白露は、秋の訪れを告げる重要な二十四節気の一つです。暑さが和らぎ、朝露が輝く美しい季節であると同時に、自然界や人々の生活に大きな変化をもたらす時期でもあります。

      白露を意識して過ごすことで、日本の伝統的な季節感を味わい、自然との調和を図ることができます。また、俳句などの文学作品を通じて、先人たちが感じた季節の移ろいや自然の美しさに触れることもできます。

      現代社会では、季節の変化を感じにくくなっている面もありますが、白露という節気を意識することで、より豊かな時間を過ごすことができるかもしれません。朝露の輝きや、秋の味覚、虫の声など、白露ならではの季節の楽しみを見つけてみてはいかがでしょうか。

      自然の変化に目を向け、季節の移り変わりを楽しむことは、忙しい日々の中でも心に潤いをもたらし、日本の伝統的な文化や自然観を継承することにもつながります。白露の季節、ゆっくりと秋の訪れを感じながら、心豊かな時間を過ごしていただければと思います。

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